研究課題
基盤研究(C)
我々は周産期に死亡するモデルマウスについて、中枢性の呼吸障害について検討している。これまで、生後24時間以内に死亡するマウスを用いて、呼吸中枢の神経回路に関わる遺伝子を複数明らかにしてきた。本研究では生後2週間頃に突然死を起こす、乳幼児突然死症候群(SIDS)に似た表現型を示す下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ペプチド(PACAP)の欠損(KO) マウスについて検討を行ったので報告する。(1)我々は呼吸機能の発達がマウス系統により異なり、C57BL/6では呼吸馴化が遅いことを報告している。PACAP KOマウスにおいて、C57BL/6背景は突然死の頻度が高いことが確認した。(2)PACAP KOマウスの出生時は、無呼吸が頻回見られる不規則なパターンを示した。この呼吸異常は呼吸中枢に依存していることが分かった。(3)新生マウスは、高二酸化炭素及び低酸素に対して応答性を持つようになるが、PACAP KOマウスは低酸素に対する応答性が野生型に比べて低下していた。(4)低酸素応答性の低下は、呼吸中枢レベルに起因することを示した(呼吸中枢におけるO_2化学受容体の存在を示唆した)。 (5)PACAP KOマウスの生後7日目に低酸素の負荷を与えると容易に呼吸停止を起こしたことから、PACAP KOマウスの突然死の原因が中枢性の呼吸異常(恐らく、低酸素応答の低下)であることが示唆された。(6)免疫組織学的検討から、O_2化学受容体は新生マウスの延髄の腹側呼吸ニューロングループ(VRG)のアドレナリン/カテコールアミン作動性の神経領域に存在する可能性を示した。以上のことから、SIDSの一つのモデルとしてPACAP KOマウスを提唱するとともに、呼吸馴化期における低酸素環境が死亡原因となる可能性を示した。
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