研究概要 |
本研究の目的は,紀元前5世紀に経験科学としての基礎を確立したギリシア医学が,前3世紀以降に,解剖生理学の進展にともなって人体の科学へと展開していくプロセスをとおして,ヘレニズム期の人間観の展開にどのような影響をおよぼしたかという問題を解明していくことにあった.本研究においては,ヘロピロス,エラシストラトスに代表される,ヘレニズム初期の医学者たちの解剖生理学に着目した.かれらの人体モデルが,脳中心主義にもとづくヒッポクラテス医学の伝統を受けついでいるという事実を突き止めるとともに,同時代の人間観の形成・展開に新たな論点を提供したことを明らかにした.
|