楽器の保存において、その法量を計測し記録することも必要ではあるが、楽器の本来の用途を鑑みるにあたり、その発する音も記録するべきではないかと考え、その方法を検討した。その結果、実際に録音するにあたり、各録音の環境を統一し、比較検討に資することは非常に困難であることが明らかになった。しかしながら、計測時点での音を知ることは、楽器の状態を判断することや、楽器の構造をより詳細に理解する上で有意義であるとし、調査すべき項目と、録音方法について検討した。今回は琵琶をテストケースとし、音の種類としては各開放弦の音、撥による発音、基本となる手などがあげられ、その際の弾法も同時に情報として記録することが必要だと考えられた。また、楽器の状態に合わせて、記録できる音を選別すべきだとし、その種類についても言及した。
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