研究概要 |
フィンランドの学校教育は,これまで主に経済協力開発機構が3年ごとに実施している国際学習到達度調査(PISA)での好成績との関連で注目されてきたが,PISA の対象外である英語教育においても多大な成功を収めている。その一方で,フィンランドの小学生が高校卒業時までに受ける英語授業の総時間数は,日本の小学生が高校卒業時までに受ける総時間数の約3分の2程度しかない。日本よりはるかに少ない授業時間数でどうして世界的にもトップレベルの英語力を育てることができるのか,その答えを探るべく,まず,文献調査と授業観察と英語教育関係者に対する聞き取り調査を中心とした現地調査をもとに,3分野にわたる 15 の成功要因を抽出し,フィンランドの大学生と小・中・高の英語教師を対象にアンケート調査を実施した。その結果,これら 15 要因が英語教育の成功要因として妥当であることが判明した。加えて,学生よりも教師の方がフィンランドの学校英語教育に対してより好意的な評価をくだしていることが判明した。
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