研究概要 |
本研究は,社会福祉現場実習における実習生の学びの実態について,テキストマイニングを用いて考察することを目的にしている。実習の実施方法や状況については施設や機関によって差異のあることから,本報告では主に,病院や地域包括支援センターといった相談機関における実習を中心に解析を実行した。結果,病院実習の場合には,実際に MSWが利用者の相談に応じる面接に同席したり, 医療サービスに関する苦情等に対応する場面を観察することを通じて,自らをこれまでの「一般的な生活者」としてではなく「援助者」として位置づけ,自分をコントロールして利用者と向き合うために何が必要であるかを模索する姿が浮かび上がっている。地域包括支援センターにおける実習では,地域へ出向く同行訪問や地域で開催される連絡会議の他,高齢者を対象にした各種の教室への参加を通じて,机上で見聞きした制度が利用者の日常生活でどう機能しているのか,その運用について「知る」という学びが顕著であった。病院の実習に比べると相談面接に同席する機会は減少するものの,援助の実際を自分の身に引きつけて考える学びの実態は存在しており,「援助者」としての自己を支える教育的スーパーヴィジョンが必要となってくることが明らかとなった。
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