本研究は、精神保健福祉領域において、当事者組織、そして他の組織がどのような連携を形成することで当事者のリカバリーが促進されるのかを明らかにすることを目的とする。まず、アメリカの精神障がい者当事者運動の拠点の1つであるNational Empowerment Centerのウェッブサイトのアーカイブに収録されている文献等をもとにリカバリーの概念を整理した。そして、リカバリーを促進していると考えられる実践(OPDI Core Essential Training Program、eCPR、GAM)の情報を収集し、それらの実践において、どのような組織間連携がおこなわれているのかを明らかにした。それらの作業、および、フィンランドのOpen Dialogueの実践の事例を通して、本人を中心にした対話の文化が、リカバリーを実現する組織間連携の根底に必要であることが浮かび上がってきた。
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