研究概要 |
ロールシャッハ・テスト(以下、ロ・テスト)における人間表象反応指標や対象関係の発達水準を評定する対象関係尺度を検討した結果、 Urist (Urist, 1977; Urist & Shill, 1982)が考案した Mutuality of Autonomy Scale(以下、MOA)が、妥当性が確認された最も優れた対象関係尺度の1つであると考えられた。そこで、Holaday & Sparks (2001)のガイドラインをさらに改良した上で,日本人被検者を対象として用いることができるよう「MOA日本語版ガイドライン」を作成した。日本語版 MOA ガイドライン作成にあたっては, Holaday & Sparks (2001)の改訂ガイドラインに基づき,Urist(1977),Urist & Shill (1982) ,Kelly(1999), Coates & Tuber (1988)の定義や反応例を参考にし、次の 3 点の改良を行った。 (1)Level 1 から Level 7 までの各水準の表題,定義,解説に関して,定義の不明確さや評定の困難さをもたらしている問題点をさらに改良した,(2) 単に日本語に翻訳するのではなく,対象関係論に精通していないテスターも理解し活用できる日本語版にした, (3)日本人テスターに馴染み深い例示となるよう日本人被検者の反応例を用いた。作成した「MOA日本語版ガイドライン」を用いて、非患者成人群のロールシャッハ反応について、対象関係の発達水準評価を行い、基準データを作成した(未発表資料)。
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