研究概要 |
これまでの研究からは,音韻的作動記憶に対して,意味記憶が貢献することが知られていた。ただし,その貢献は,音素系列の保持についてのみ評価されたものであった。本研究においては,音素系列の保持に対して,意味記憶の実験変数が影響を与えることを確認しただけでなく,そうした変数が,アクセント一致効果というピッチアクセントの影響の仕方に対しても効力を持つことを示した。一方で,非単語再生の場合には,音素配列頻度という長期的知識の影響は,音素正答にもアクセント正答にも影響を与えたが,アクセント知識の変数は,アクセント正答のみに影響を与え,音素正答には影響を与えなかった。以上の結果に基づいて,アクセントの長期的知識は,主として意味記憶を介して音韻的作動記憶における音素系列保持に影響を与えると結論された。
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