研究概要 |
比較星18星の鉄および炭素から亜鉛までの13元素(C, O, Na, Mg, Al, Ca, Sc, Ti, V, Cr, Ni, Zn)について、組成解析を行った。 鉄の金属度[Fe/H]と13元素と鉄の総計による総金属度[M/H]の比較から、[M/H]は[Fe/H]の0.75位に対応する値になり、金属欠乏領域における惑星形成条件の金属度としては総金属度を用いるべきことが示唆された。惑星探査によりホットジュピターが1つの中質量星巨星で検出され、中質量星まわりで形成される惑星質量の新たな下限となった。他に10星ほどに惑星の存在が示唆された、これらの探査標本の巨星の鉄組成については、太陽値を中心とした分布を示し、矮星の場合と異なることが判明した。また、関連研究として、金属欠乏矮星と巨星について、α元素の硫黄と珪素の振る舞いと、彩層の存在について調べた。硫黄は、低金属度領域では[Fe/H]に対して+0.4 dex 程度の値で平坦な傾向を示す。また、珪素は硫黄と似た振る舞いを示すが、近赤外吸収線による組成解析ではNLTE解析を行う必要性が確認された。 さらに彩層については、金属度によらずに矮星と巨星双方に彩層が普遍的に存在することが観測的に確証された。
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