研究概要 |
白亜紀~古第三紀のアジア大陸東縁は,コールドロンの形成に伴なう巨大噴火と巨大バソリスによって特徴づけられる火成活動の場であった。本研究では,年代データの空白地域である中国地方中~東部の白亜紀~古第三紀火山岩類について放射年代値を求めた。 (1)二上山コールドロン。コールドロン埋積層の玄武岩質安山岩アグルチネート:83±13Ma(Rb-Sr);角閃石黒雲母花崗岩(打穴花崗岩):85.2±1.9Ma(角閃石K-Ar);花崗閃緑斑岩:72.8±1.8Ma(角閃石K-Ar);石英閃緑岩:66.6±2.4Ma(角閃石K-Ar)。したがって,二上山コールドロンの火山活動は,85~73Maの間に起きた可能性が高い。 (2)引原コールドロン。コールドロンを埋積する流紋岩質溶結凝灰岩:73.2±2.5Ma (FT);黒雲母花崗岩:63.1±2.3Ma (Rb-Srアイソクロン年代);石英斑岩(波賀花崗閃緑岩体)69.0±2.2Ma (FT)。したがって,引原コールドロンにおける火山活動は,約75~60Maの間に起こったものと考えられる。 (3)作東コールドロン。コールドロンを埋積する流紋岩溶岩:77.3±4.3Ma(Rb-Srアイソクロン);石英閃緑岩:71.3±3.7Ma(角閃石K-Ar)。したがって,作東コールドロンの形成年代は,白亜紀末期の70~80Maであったと結論される。 (5)柵原地域。石英閃緑岩:79.8±1.8Ma(角閃石K-Ar)。したがってこの地域にも,80Ma頃のコールドロンが存在する可能性が高い。これらのデータから,中国地方中~東部でも中国地方西部と同様に,この時期にいくつものカルデラを伴なう大規模な破局的噴火があったことが明らかになった。火山活動は,古第三紀(44~30Ma)になると,明瞭な火山フロントをもつ島弧火山活動に移行した。
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