研究課題
基盤研究(C)
高分子系エッチング型飛跡検出器中に形成されるイオントラックの構造を赤外分光分析によって系統的に評価した。対象とした高分子は、ポリアリル・ジグリコール・カーボネート(PADC)、ビスフェノール A ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン・テレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)であった。照射したプロトンや重イオンの阻止能域は 10から 12000 keV/μm であった。赤外線吸収スペクトル上にはエッチング可能な飛跡形成の閾値以下の阻止能を有するイオン照射によって有意な変化が観察された。化学的パラメータとして、着目している官能基がその内部で失われている実効的トラックコア半径、同官能基のトラック単位長さ当りの損失数である損傷密度、そして、放射線化学収率を求めた。潜在飛跡がエッチング可能となるには、飛跡の径方向について隣り合った C-O 結合が2つ以上切断される必要があるとの化学的閾値モデルが得られた。
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