研究概要 |
カーボンナノチューブ(CNT)を従来の炭素繊維の代替材料として用いた複合材料を作製し特性を評価した.CNT単体の特性は結晶の完全性に大きく影響するため,単純に市販の樹脂材料の中に混ぜるだけでは効果が発揮されない.高アスペクト比を有するCNTをrfプラズマCVD法で合成して,その後熱処理を行い結晶の完全性を向上させることで,機械的強度および電気抵抗率を向上させることを行った.合成した直径7~9nm,長さ600?mのCNTを用いて2000℃10分の熱処理を行うことで,ID/IG値0.9から0.1まで向上させ,そのCNTを複合材料のフィラーとして用い,電気伝導性を評価したところID/IG値が小さいもの,すなわち品質が高いCNTを使用すると電気抵抗率が下がることがわかった.機械的特性においては,品質が高くなると,引張強さ,ヤング率ともに下がる傾向が見られた.その後,高熱伝導性材料を目標として,セグメント状にCNTを成長させ,その隙間に樹脂を流し込むことにより,高濃度のCNT複合材料ブロックを作製することを試みた.
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