研究概要 |
渦輪による気泡群の捕集と輸送に関する知見を得るため,シリンダとピストンからなる渦輪射出装置を底面に備えた水槽を用いて実験を行った.シリンダ出口端に設置した細管から気泡を渦輪の射出とともに連続的に水中に注入する実験である.シリンダの内径は42.5 mm,ストロークは100 mmである.渦輪の循環は20000以下であり,層流渦輪に相当する.気泡の平均直径は3.2 mm以下である. 渦輪の挙動と気泡の運動を調べた結果,以下の結論が得られた.1. 渦輪に対する気泡の相対的な運動は,渦輪射出速度すなわち渦輪強度と気泡注入流量に応じて4種類(Pattern 1,Pattern 2,Pattern 3,Pattern 4)に分類できる.2. 渦輪強度が低いPattern 1では,気泡は渦輪に巻込まれずに上昇する.3. 渦輪強度が増したPattern 2では,注入開始時を除き,前半に注入された気泡は渦核内部に巻込まれながら上昇する.巻込まれた気泡は渦核中心に沿って周方向に分布する.注入後半部の気泡は巻込まれずに上昇する.渦輪の上昇につれて,巻込まれていた気泡が上部へ離脱する.4. 渦輪強度がさらに増したPattern 3では,注入開始時を除くすべての気泡が巻込まれ,渦核中心に沿って周方向に分布する.巻込まれた気泡は渦輪とともに上昇する.5. 渦輪強度はPattern 3と同じであるが気泡流量が小さいPattern 4では,すべての気泡が巻込まれる.一部の気泡が上方へ離脱するが,多くの気泡は渦輪とともに上昇する.6. 気泡は渦輪変位に影響をほとんど及ぼさない.7. 巻込まれた気泡は,局所的に渦輪の半径をやや増大させる.
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