研究課題/領域番号 |
22570196
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
細胞生物学
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
戸井 基道 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 研究グループ長 (50344213)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2011年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2010年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 細胞移動 / 神経軸索誘導 / 低分子量Gタンパク質 / 線虫 / 神経軸策伸長 / アクチン |
研究概要 |
低分子量Gタンパク質であるRacは、細胞骨格アクチンの重合・脱重合を制御する中心的シグナル分子である。神経細胞においても、Racは軸索伸張からシナプス形成に至るまでの様々な形態変化に関与する。昨年度までの研究から見出した、新規のRacエフェクター分子である線虫RIN-1の細胞学的機能と分子遺伝学的機構を明らかにする事を目指し、以下の解析を行った。 1、神経細胞移動および軸索伸長における低分子量Gタンパク質群とRIN-1タンパク質とのクロストークの関係 野生型および恒常活性化型変異を入れたGタンパク質遺伝子として、CED-10/Rac1とRAB-5を作成し、野生型あるいはrin-1変異体の線虫に発現させた。野生型、変異体どちらにおいても、恒常活性化型CED-10の発現により発生過程にある線虫神経の糸状仮足の数が増加したが、特にrin-1変異体においてその数が有意に増加する事、また軸索を伸長する細胞サイドのみではなく、反対側にも異所的に糸状仮足が見える事を見出した。この結果は、RIN-1タンパク質は、活性化型Racと特異的に結合し、その活性を細胞領域特異的に制御している事が明らかになった。Rab5の影響や、これらのタンパク質の活性化が生体内でどの様に制御されているのかについては、形質転換体の作製に時間を要し、結果を得るまでには至らなかった。 2、軸索誘導を制御しているガイダンス分子とRIN-1タンパク質活性化の関係。 昨年度までの遺伝学的解析から、反発性シグナルslitおよびその受容体Roboの下流でRIN-1が機能している可能性を明らかにしている。このシグナル経路の分子機構を明らかにするために、各分子の挙動と相互作用を解析した。線虫のRoboをコードしているSAX-3とGFPとの融合遺伝子を発現させた形質転換体を作製し、発生中の神経におけるSAX-3の発現や局在を観察したところ、SAX-3は細胞膜上、特に糸状仮足に強く局在していた。ただし、伸長方向に勾配を持って局在している様子は観察されなかったので、細胞内では一様に局在していると推測された。興味深い事に、この糸状仮足への強い局在とRIN-1の細胞内集積がリンクしているように観察される。今後この2つのタンパク質の細胞内動態を詳しく解析する予定である。これらの結果は、RIN-1タンパク質がガイダンス分子特異的に細胞内のRacの活性を制御することで、軸索伸長に必須な糸状仮足の形成を領域特異的に制御している事を示す最初の発見であり、現在論文投稿中である。
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