研究概要 |
本研究は,老化を基礎とする疾患の発症や進展の予防を目的として,いくつかの薬物の脳内移行性を特徴付けた.(1)ウシ脳毛細血管内皮細胞へのクルクミンの浸透は,HPLC-UV法において検出限界のため測定できなかった.(2)ウシ脳毛細血管内皮細胞へ[3^H]フルバスタチンの輸送には,担体介在機構が関与していることがわかった.(3)ラット脳毛細血管内皮細胞へ[3^H]アマンタジンの輸送には,何らかの有機カチオンに感受性のある輸送システムが関与していることがわかった.アマンタジンをラット大脳内微量注入60分後に約50%が比較的緩やかに消失していることがわかった.(4)パーキンソン病態においてはレボドパのトランスポーター介在輸送効率がわずかながら減少することが示唆された.ヒト脳毛細血管内皮細胞ならびにマウス脳灌流技術を用いた実験から,(5)マジンドールの脳内取り込みに単純拡散機構とP-糖タンパク質の関与すること,(6)アマンタジンの血液脳関門輸送にP-糖タンパク質の影響がないことをそれぞれ明らかにした.(7)74歳以下と75歳以上の群,男性と女性の群,および薬物の総服用量が8g以上(8-96g)の群で,スルファメトキサゾール-トリメトプリム配合剤(SMX-TMP合剤)投与後に血清クレアチニン(SCr)の有意な上昇が認められた(P<0.05).8g以上(平均29.8g)の総服用量の群で18.4%のSCrの有意な上昇が認められた(P=0.002)が,7g以下(平均5.3g)の群ではわずか4.5%の上昇であった.これらの結果より,投与期間の総服用量が約30g(トリメトプリムとして約2.4g)のとき,SCrは20%程度まで上昇する傾向が明らかになり,本剤投与後のSCrの上昇には,年齢や性別の因子よりも総服用量が主に影響を及ぼすと考えられた.本研究は,老化を基礎とする疾患の発症や進展の予防を目的として,いくつかの薬物の脳内移行性を特徴付けた.(1)ウシ脳毛細血管内皮細胞へのクルクミンの浸透は,HPLC-UV法において検出限界のため測定できなかった.(2)ウシ脳毛細血管内皮細胞へ[3^H]フルバスタチンの輸送には,担体介在機構が関与していることがわかった.(3)ラット脳毛細血管内皮細胞へ[3^H]アマンタジンの輸送には,何らかの有機カチオンに感受性のある輸送システムが関与していることがわかった.アマンタジンをラット大脳内微量注入60分後に約50%が比較的緩やかに消失していることがわかった.(4)パーキンソン病態においてはレボドパのトランスポーター介在輸送効率がわずかながら減少することが示唆された.ヒト脳毛細血管内皮細胞ならびにマウス脳灌流技術を用いた実験から,(5)マジンドールの脳内取り込みに単純拡散機構とP-糖タンパク質の関与すること,(6)アマンタジンの血液脳関門輸送にP-糖タンパク質の影響がないことをそれぞれ明らかにした.(7)74歳以下と75歳以上の群,男性と女性の群,および薬物の総服用量が8g以上(8-96g)の群で,スルファメトキサゾール-トリメトプリム配合剤(SMX-TMP合剤)投与後に血清クレアチニン(SCr)の有意な上昇が認められた(P<0.05).8g以上(平均29.8g)の総服用量の群で18.4%のSCrの有意な上昇が認められた(P=0.002)が,7g以下(平均5.3g)の群ではわずか4.5%の上昇であった.これらの結果より,投与期間の総服用量が約30g(トリメトプリムとして約2.4g)のとき,SCrは20%程度まで上昇する傾向が明らかになり,本剤投与後のSCrの上昇には,年齢や性別の因子よりも総服用量が主に影響を及ぼすと考えられた.
|