研究課題
基盤研究(C)
リンパ節に存在する内皮細胞は主にリンパ管系内皮細胞、血管内皮細胞に大別され、血管内皮細胞はさらに形態的特徴や機能から HEV (高内皮細静脈)内皮細胞、非 HEV 内皮細胞に分類することができる。HEV 内皮細胞は、特異的な接着分子やケモカインを発現しリンパ球のホーミングを媒介するという点で、免疫系において重要な機能をもつ細胞である。 HEV 内皮細胞のホーミングにおける機能的解析は多数行われている一方、 HEV 内皮細胞がどこから発生し、機能的な細胞に分化するのかという点については未だ不明である。 HEV 形成期における HEV 内皮細胞分離技術の開発を行い、初めて胎生期 HEV 内皮細胞の遺伝子発現解析に成功し、選択的に発現する複数の転写因子を同定した。 これらの中の一つについて詳細な解析を行ったところ、 HEV の成熟が進む胎生後期から新生仔期において HEV 内皮細胞に選択的に発現することが明らかとなった。 また、この遺伝子を欠損するマウスは、野生型と比較して新生仔リンパ節が小さく、免疫組織化学的解析から HEV 内皮細胞に特異的に発現する複数の遺伝子発現が低下していた。これらのことから、この転写因子が HEV 内皮細胞分化に機能的に関与する可能性が示唆された。
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