研究課題
基盤研究(C)
本年度は以下の実験を実施した1.昨年度までにGATA3条件つきノックアウトマウスとPax8-rtTA-Creトランスジェニックマウスを用いて、成体マウス腎臓でGATA3を欠失したマウスを創出した。今年度はGATA2条件つきノックアウトマウス用いて、成体マウス腎尿細管細胞でGATA2を欠失したマウスを創出した。いずれのマウスでも水トランスポーター(Aqp2)の発現が減少し、24時間尿量が増加し腎性尿崩症様症状を呈した。従って、GATA2及びGATA3が腎尿細管細胞において、体内水分量維持に貢献していることを明らかにした。2.GATA2及びGATA3を欠失する尿細管細胞の発現アレー解析を行った。現在、データの解析中である。3.腎尿細管細胞でのGATA2およびGATA3の染色体DNA上での結合部位を網羅的に明らかにするために、ビオチン化タグつきGATA2およびGATA3を安定導入した腎尿細管細胞株mIMCDを樹立した。今後、転写複合体精製やChIP-seq解析等に供する予定である。4.GATA3ノックダウンマウスの腎臓組織像を詳細に検討した結果、腎糸球体メサンギウム細胞の減少とメサンギウム領域の拡大を伴う組織変化を認めた。腎臓でのGATA3の発現パターンを詳細に調べた結果、GATA3は糸球体メサンギウム細胞にも強く発現することが解った。5.GATA3ノックダウンマウスの腎糸球体での遺伝子発現パターンの変化を検討したところ、セリンプロテアーゼインヒビターのメグシンの発現が著しく増加していた。メグシンは糖尿病性腎症やIgA腎症でも発現増加する遺伝子である。GATA3は正常腎ではメグシン遺伝子の発現を抑制することにより、糸球体障害を抑止していると考えている。6.腎尿路系初期発生において、膀胱尿管接合部周囲でのGATA2の発現が正常な膀胱尿管接合部の発生と、水腎症の発症予防に重要であることを明らかにした。
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