研究課題
基盤研究(C)
ヒトパピローマウイルス(HPV)はエンヴェロープの無い小型DNAウイルスである。キャプシドはL1とL2から構成される。本研究ではHPV感染の初期過程に重要な役割を果たすL2と特異的に相互作用する宿主蛋白質を同定し、この相互作用に依存したHPV感染の分子機構の解明を試みた。L2に特異的に相互作用する細胞内蛋白質Transport protein particle complex subunit 8 (TRAPPC8)を同定した。このTRAPPC8はHPVの細胞内侵入に必須な蛋白質であることが分かった。ただし、この侵入機構にL2-TRAPPC8相互作用は無関係であった。一方、L2はゴルジ体を特異的に分散することが明らかとなり、この分散はTRAPPC8ノックダウン細胞のそれと酷似していた。HPVはL1キャプシドを介したTRAPPC8に依存したエンドサイトーシス機構を利用して細胞内に侵入した後、L2がTRAPPC8の機能を阻害し、感染を成功させると推察された。このL2によるTRAPPC8の機能阻害はウイルスゲノムがトランスゴルジネットワーク(TGN)から脱出する機構に重要な役割を果たすと考えられた。
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