研究課題
基盤研究(C)
口腔扁平上皮癌(OSCC)において、変異細胞の単一クローン性増殖に対して、細胞の不均一性(heterogeneity)は、制御不可能となった幹細胞や前駆細胞から生じることが想定される。しかし、幹細胞性(stemness)に関わる分子の発現や分布については明らかになっていない。そこで、我々は、OSCCにおける、これらstemness関連分子の発現・特性と予後との関連性について明らかにした。クロマチンの調節に関わるBmi-1とHmga2について、OSCC 12症例における腫瘍部と周辺の正常部での発現の差異についてマイクロアレイを用いて検討した。Bmi-1とHmga2の双方とも、がんの抑制に関わるInk4aやArfの発現を抑制的に調節することによって、幹細胞の自己複製を促進することが知られている。これらの発現レベルに関して、OSCC 38症例の腫瘍部・正常部と、同一病期の舌扁平上皮癌91症例についてqRT-PCRを用いて解析した。Bmi-1とHmga2はターゲットとして類似しているにもかかわらず、Bmi-1蛋白は発癌初期の病変部に、Hmga2蛋白は進行した病変部に発現していた。同様に、腫瘍のBmi-1発現と全生存期間(OS)に関連性は認められなかった(P = 0.67)が、腫瘍のHmga2発現とOSの短縮には関連性が認められた(P = 0.05)。qRT-PCRの解析結果は、蛋白の発現レベルと相関していた。以上の知見から、Bmi-1は、非がん部からの発がんを検索する早期発見マーカーであり、一方、Hmga2 は、腫瘍の予後を推定するマーカーであることが示唆された。我々の検討では、OSCCにおいて、これらstemness関連分子の発現は、少数の原始的な腫瘍細胞に認められ、むしろ非発現の腫瘍細胞がその多くを占める。stemness関連分子を高発現しているOSCC細胞は、部分的に幹細胞のような振舞いをしているに違いないと考えられる。
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