研究課題/領域番号 |
22604014
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
量子ビーム科学
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
早野 仁司 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 教授 (00173055)
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研究期間 (年度) |
2010
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2011年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2010年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 高周波電子銃 / セシウムテルライド / NEA / スピン偏極 / スピン偏極高周波電子銃 / 負の電子親和力 / フォトカソード |
研究概要 |
本研究は、未だ実現されたことがない世界初のスピン偏極高周波電子銃の実現を目指した準備研究である。実現には、スピン偏極電子源の表面に施す負電子親和力(NEA)を示す膜の長耐久化が必要不可欠である。本研究は、新しいタイプのNEA膜を使用したスピン偏極電子源を、高周波電子銃へ装着しダメージを系統的に調べることを目的としている。 半導体表面にNEA膜を施すと真空準位を伝導帯下端よりも低く下げることができるため、適切な波長のレーザーを用いて電子の選択的かつ効果的励起が可能になったり、運動エネルギーがほぼゼロの光電子を発生することができる。このため、NEA半導体フォトカソードを備えた電子銃では、スピン偏極あるいは、初期のエミッタンスを低く抑えた電子ビーム生成が可能である。 従来技術によるNEA膜を施した半導体フォトカソードは、セシウム(Cs)と酸素(O)を組み合わせたもので、耐久性能が低く、長時間安定に電子を引き出すことが難しい。高周波により強い引き出し電界を発揮する高周波電子銃は、今や挑戦的な電子銃とは言えないほどに電子銃の技術革新は進んでいる。カソードに強い電界が周期的にかかる高周波電子銃では、電子ビームよってイオン化された残留ガスが、周期的なイオンボンバードメント現象を引き起こす。この劣悪な環境下では、Cs/O型NEA膜は容易に破壊されてしまう。そこで本研究では、Csとテルル(Te)を組み合わせたCs/Te型の超長耐久NEA膜の製作研究を進めその特徴を分析してきた。TeはOより重い同族元素であり、高周波電子銃の過酷な環境下において長寿命を発揮するセシウムテルライド(Cs2Te)薄膜フォトカソードと同じ組み合わせである。このCs/Te型の超長耐久NEA膜の研究によって、従来スピン偏極電子銃は直流型であるというのが常識であったが、実用化しているパルス型Cs2Te薄膜高周波電子銃へのNEA膜応用が実現不可能ではない状況になってきた。
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