研究概要 |
本研究では,変形性膝関節症に対する運動療法の生物学的効果に関する基礎データを提示する目的で,実験的に発症させたラット膝関節炎モデルに対して,機器を用いた持続的他動運動と電気刺激による低負荷の筋収縮運動といった2種類の運動療法による治療介入を行い,痛みや腫脹といった炎症症状におよぼす影響を検討した.結果,いずれの運動療法でも患部である膝関節のみならず,遠隔部にあたる足部の痛みが早期に改善することが明らかとなり,運動療法には生物学的効果があることが示唆された.そして,先行研究の結果を参考にすると,この生物学的効果には関節周囲組織から発現する抗炎症性サイトカインが関与している可能性が見いだされ,病態の進行や治療効果判定に利用できるバイオマーカーとしても有用ではないかと考えられた.
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