研究概要 |
肥満性肝疾患である脂肪性肝疾患に対し,肝の脂肪化,炎症と線維化の肝病態を改善するために,筋肉でのグルコースの利用率を増加させ,インスリン抵抗性を改善することは重要である.このことより,適度な運動による骨格筋量の維持は重要である.脂肪性肝疾患の肝病態に対する運動療法の効果判定については,脂肪化,炎症と線維化の病態の改善度を反映する血中の分子マーカーを探索し,非侵襲的にモニターするための新しい測定システムを構築することが今後において重要である.そこで,中年肥満男性を対象に行われた減量教室のデータをもとに,それらの血清試料を用いて,運動療法が肥満者の肝病態に及ぼす影響を反映する分子マーカーの探索を展開した.糖鎖分子マーカーとして,血中糖転移酵素活性値の測定を行った.運動療法は食事療法と比較して,エネルギー消費量を増加させる,除脂肪体重を維持する,また,フェリチン値を減少させる,酸化ストレスマーカーであるTBARS値を低下させる点で優れていた.運動療法が肥満者の肝病態に及ぼす影響を反映する分子マーカーとして,血清フェリチン値と酸化ストレスマーカー(TBARS)は有用であると考えられた.糖鎖分子マーカーの探索は現在,継続中である.
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