研究概要 |
これまでに我々が構築したVLS反応ナノワイヤ形成法を用いて、従来技術では困難な酸化物ナノワイヤ構造化を検討した。第一のアプローチとしてコアシェルヘテロナノワイヤ構造体を活用し、コアとして金触媒を介したVLS結晶成長により酸化物ナノワイヤ(MgO)を形成し、コアナノワイヤ上にシェル構造としてNio, CoOx等を導入した。本手法では、コア材料とシェル材料の3次元的な格子整合性が必要であることがこれまでの我々の研究から明らかになっており、この観点から最適なコア材料の探索を行った。また、ヘテロ構造形成条件がシェル層の結晶性・組成に与える影響について詳細に検証した。次いで、単独元素の蒸気圧に着目をした研究を行った。結果、蒸気圧の高い元素種の酸化物ナノワイヤが実現可能であることを実験的に証明した。具体的には、SnO2, SrO, Sm2O3等の新しい酸化物ナノワイヤの創成に成功した。現在はナノワイヤヘテロ界面における原子混合を活用した手法を用いて、コアとして金触媒を介したSrOナノワイヤを酸化物VLS法により形成し、コアナノワイヤ上にシェル構造としてTiO_x層を導入し、その後、熱処理を行うことでヘテロ界面における原子混合を発現させ、単結晶SrTiO_3ナノワイヤ構造体を創製することを試みている。本手法では、ナノワイヤの形成条件の探索、熱処理に伴う原子混合の制御及びSrとTi組成の制御が重要な検討課題となる。上記両手法の妥当性を、作製されたナノワイヤの結晶性、組成分析、微細構造等をXRD及びHRTEM-EDS等を用いて比較解析することで検証しつつある。
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