研究概要 |
目的:半減期6時間の^<99m>Tcは核医学診断用に多用されており、その親核^<99>Moは欧米の経年化した原子炉で生成され、我国はそれを輸入している。しかし、経年化のため事故が多発、^<99>Moの安定確保を如何に図るかは問題である。我々は、加速器中性子を用い^<100>Mo(n,2n)^<99>Mo反応で^<99>Mo(^<99m>Tc)を製造する新方法を提案した。研究成果:高濃縮^<100>Moに14MeVの加速器中性子を照射し、その断面積が既知の^<92>Nbを同時生成して、上記断面積測定を行い1.43バーンの値を得た。又、同時製造される不純物放射性物質は、^<100>Mo(n,4He)^<97>Zr反応による半減期16.9時間の^<97>Zrとそのベータ崩壊産物である^<97>Nbのみである事を明らかにした。以上より、^<99>Moが加速器中性子を用い相当量製造できる事、^<99>Moから^<99m>Tcを分離抽出する作業が、生成される不要放射性廃棄物が微量であるのでコンパクトな施設で行える事、高価な^<100>Moの再利用が可能である事を明らかにできた。又、^<99m>Tcと標的^<100>Moの分離法については、Moの保持能力の高いポリ塩化ジルコニウム(PZC)を用いる方法と昇華法の検討を行った。^<100>Moを再利用する事、短時間で分離できる事、価格が安い事等から昇華法を採用する事にした。予備結果として、^<99m>Tcが十分な核純度を有することを確認した。更に、高強度の14MeV高速中性子生成法を検討した。三重水素標的に重陽子を照射する方法及び炭素・ベリリウム標的に重陽子を照射する方法を検討し、将来的に安定・安心して使用できる標的として炭素を採用する事にした。
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