研究概要 |
本課題は、生物的メタン生成を高圧下で起こす事が可能か否かを検証することによって、海洋ならびに陸地地下圏において今なお起きつつあると推定される生物学的メタンの成因解明をめざすものである。本研究ではまず生物的メタン生成を高圧下で起こす事が可能か否かを検討した。本研究において、地下圏に広く存在する典型的な高温性メタン生成古細菌である Methanothermobacter thermautotrophicus の高圧培養を試みた。その結果温度 55°C, 圧力 5MPa, 10MPa, 15MPa の条件で生育しメタン生成を行うことを捉えた。また、地下圏に広く存在する酢酸を炭素源として酢酸酸化水素生成型微生物と水素資化性メタン生成古細菌の共生高圧培養を試みた。その結果、上述のメタン生成古細菌単独の培養と同様に、5MPa, 10MPa, 15MPaの条件で生育しメタン生成を行うことを明らかにした。メタン生成古細菌のみならず酢酸酸化共生微生物もこうした圧力に耐えられることから、深部地下圏において微生物間共生によってメタン生成が起こりうることを初めて明らかにした。
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