研究概要 |
確率共鳴(stochastic resonance ; SR)とは適切なノイズの下で検出限界以下の小さな刺激が感じ取れるようになる現象である.本研究では, SRの原理をロボットに組み入れノイズの混入が避けられない触覚センシングの能力を高めることを目的としている. Parameter Estimation by Sequential Testing(PEST)による一連の心理物理実験の結果,弁別閾とノイズ強度の関係において弁別閾が極小値を採る現象を発見した.このことは丁度可知差異(just noticeable difference ; JND)が適切なノイズにより減少することを意味している. JNDは心のなかの物差しであり,適切なノイズによりその物差しの目が小さくなる,すなわち精度が向上することを意味している.この結果に基づいて,双安定な特性をもつ非線形なニューロンのから構成される新しい神経回路モデルを定式化した.本神経回路を用いると,従来表面の判定できなかった表面の微細テクスチャの凹凸形状を抽出できることを実験に示した.
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