研究概要 |
再生医療用細胞シートの選別において,細胞の硬さと活性度の間には密接な関係があることが知られているものの,培養液中に置かれた透明かつ厚さ20ミクロンという極薄細胞シート特性が計測上大きな足かせになっている.本研究では,角膜移植用細胞シートに微圧空気噴流をステップ状に印加し,そのときの細胞シートの厚さ方向の変位計測から厚さ方向とそれに直交する方向の硬さを評価する方法を構築することを目的としている.この目的を達成するため,直径0.5mm空気噴流ノズルから空気噴流を細胞シートに吹きかけ,そのときの変位応答の様子を実時間処理可能な高速ビジョンを用いて計測した.その際,細胞シートが空気に触れてしまうと,たちどころに細胞シートが弱ってしまうため,空気噴流印加時に細胞シートが一時的に培養液から空中に出たときにすばやく計測を完了させ,1秒後に空気噴流を遮断することによって細胞シート表面が培養液に隠れるように配慮した.力印加点の変位の時系列計測から力増分と変位増分の関係から逆問題を解いて厚さ方向の硬さを評価する方法を採用した.実験では,正常環境下で培養された細胞シートと意図的に細胞重合を阻害した細胞シートを用いた.その結果,サンプリング数は少ないにしても正常環境下で培養された細胞シートの方が重合を阻害した細胞シートに比べ,厚さ方向に対して硬いという傾向が得られた
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