研究課題/領域番号 |
22656172
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
金属生産工学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
邑瀬 邦明 京都大学, 工学研究科, 准教授 (30283633)
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研究期間 (年度) |
2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2010年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
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キーワード | 電解 / 電解採取 / 電析 / マグネシウム / イオン液体 / 室温溶融塩 / 常温溶融塩 / 真空プロセス |
研究概要 |
高温溶融塩を用いるマグネシウム電解製錬は、投入エネルギーの半分が浴の温度維持に消費され効率が小さい。こういった背景から、高温溶融塩に代わる浴を用いた新規プロセスが期待される。Mgは卑な酸化還元電位をもつため、用いる溶媒は還元耐性に優れる必要がある。本研究では脂肪族4級アンモニウムカチオンをもつ疎水性イオン液体TMHA-Tf_2N(trimethyl-n-hexylammonium bis[(trifluoromethyl)sulfonyl]amide)を溶媒とし、さらにイオン液体の難揮発性という特徴を活かし、浴中の水分および酸素を除去するために、真空雰囲気下のプロセス構築を試みた。ここではまず、真空下でラボスケールの金属電析が可能な電解セル(真空電解装置)を設計し、組み立てた。さらに、その装置を用いて真空雰囲気下でのMgの酸化還元挙動を調べた。 イオン液体浴を真空雰囲気でも用いることで、電析Mgに酸化をもたらす残留水分を、常時20ppm程度に抑えることに成功した。一方で、プロセス初期に溶存空気によるバブルが発生して電解を妨げるなど、真空雰囲気特有の問題点があることがわかった。真空雰囲気下での純粋なTMHA-Tf_2Nの分極測定から、温度140℃での電位窓は約4.4Vと、常温常圧での値(5V以上)よりも狭いことが明らかとなった。マグネシウム塩を溶解させたTMHA-Tf_2Nを用い、温度140℃,電位-2.0V vs.Snで定電位電解を行った結果、作用極として用いたCu板上にマグネシウムを含む析出物が得られた。しかし、X線回折測定では単体の金属Mg由来の回折線は観測されず、マグネシウムがどのような形態で析出しているか判断するには今後さらなる追加実験が必要である。いずれにしても、本研究により真空電解装置の設計製作ができたことから、この装置を用いた他の金属電解へと今後応用範囲を広げる予定である。
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