研究概要 |
本研究では,従来の高温太陽集熱をエネルギー源とする二段階水熱分解サイクルの反応媒体である水熱分解性セラミックの熱活性に,光半導体触媒の光活性を添加し,通常1000℃以上でしか作動しないサイクル反応を低温化することに挑戦する。すなわち熱-光ハイブリット活性型の反応性セラミックデバイスの創製に挑戦する。22年度は下記の研究成果が得られた。 研究代表者が開発したFe含有立方晶ジルコニアをゾルーゲル法で合成し,その際にセリウム等の光触媒金属酸化物を添加した反応性セラミック微粉体を合成した。この微粉体をスピンコート法でジルコニア,あるいはSiCのセラミッレ発泡体に担持し,反応デバイスの作製を行なった。この新規反応デバイスを3kW太陽炉シミュレータからの擬似太陽集光照射下で反応試験を行った。セリウムを添加しない反応デバイスと反応温度が低温化しているかを比較検討して結果,反応性セラミックの二段階反応の2つの反応,すなわち熱還元反応と水分解反応のうち,水分解反応について,従来の反応デバイスと比べて顕著な低温化が起こっていることが見出された。セリウムを添加しない場合は1100℃以上を必要としていたが,セリウムを添加すれば600~800℃でも十分に反応を行えることが見出された。後は,もう一つの反応の熱還元反応を低温化することができれば二段階反応全体を低温化することが出来る。これにはニッケル,コバルト酸化物等の添加が有効と考えられた。
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