研究概要 |
従来のソーラータワーの発電効率を大幅に増加するために二つのアイデアを試し,ともに有効な結果を得た.まず,最初にタワーの形状を従来の直円筒型から上空に向かって広がるディフューザ型に変更した.構造体外部の一般風を微小と仮定し,太陽熱により加熱された地表面と周囲との温度差が30℃である条件下にソーラータワーを設置することを模擬した室内実験及び数値解析を行った.その結果,円筒型風路塔モデルに比べ,ディフューザ型風路塔モデルでは約1. 4~1. 5倍の速い上昇流速を風路塔下部に得た.この創風性能の向上は,風路塔下部のスロート近傍を低圧にすることが起因する.風速の3乗則によるとディフューザ型風路塔を適用した構造体は,円筒型風路塔を適用するより約2. 7~3. 4倍の風力エネルギーを集束することが期待される. 次にソーラーチムニーに関して,太陽熱により熱上昇風が駆動される場合(一般風がない場合)の実験室規模のモデルを用いた実験および数値解析を行い,実スケール(100m高さの煙突)における煙突内部上昇風の平均速度を推測した.解析の結果,ほぼ無風の状態であるにも関わらず,構造体を利用することで0. 56m/sの上昇風を得ることができた.相似則に基づいて実スケールの風速を見積もると約8. 9m/sの上昇流が推測され,このとき約46kWの出力が予想される. 最後に集風型の垂直構造体としての性能評価を行った。周囲の風環境及び流体力学的形状特性により、風を集める垂直型集風構造体(VT-WCONVS)の集風原理を風洞実験および直接数値計算の流れ場解析により明らかにした.本研究では構造体への近寄り風速の約1. 9倍に増速する集風性能を風洞実験により得た. VT-WCONVSは風速の3乗則により近寄り風速の約6. 8倍の風力エネルギーを集束することが期待される.
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