研究課題
挑戦的萌芽研究
近年、化石燃料価格高騰による経済被害や、その消費に伴う地球温暖化ガス放出などの環境破壊が、世界的な問題となっている。その解決策の一つが、植物質由来のバイオマス燃料開発と普及である。植物は空気中のCO_2を吸収して自身の体を構成するため、それを燃焼しても、CO_2濃度は上昇したことにならない(カーボンニュートラル)。しかし、種子を除き、植物の主成分はリグノセルロースという堅固な物質であり、動物は一般にこれを消化できないし、人工的な化学分解もコストが大きい。ところがシロアリは、腸内共生微生物の働きで高効率なリグノセルロース分解を実現している。そのため、シロアリの能力をバイオ燃料開発に応用しようという試みが、世界中で行われている。問題は、シロアリ腸内共生微生物群が難培養性で、従来の培養を前提とした微生物学的研究がほぼ不可能ということである。そこで、網羅的なゲノム(全遺伝情報)解析や転写産物解析など、オミックスと呼ばれる手法が必要となる。そのためには、腸内共生微生物叢を単純化したモデル生物の使用が望ましいが、存在しない。本研究課題では、その「モデルシロアリ」作成を試みている。出発材料として、わずか種類の原生生物しか共生していないシロアリ種を用いた。まずその腸内微生物の群集構造を、培養非依存的な分子生態学的手法により解析した。その結果、わずかに異なる2系統が1つの腸内に混在していた。今後、これを1系統にすることを一試みる。
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http://www.hongoh.bio.titech.ac.jp/