研究概要 |
以前,われわれは白背地で飼育したサクラマス(Oncorhynchus masou)の海水適応能が黒背地飼育群よりも優れていることを見出した。そこで,本研究では背地色の変化に応じて産生量が変化する,視床下部-脳下垂体系ホルモンの海水適応や電解質代謝への関与を調べた。主要な成果は以下の通りである。第一,にサクラマス稚魚を淡水白背地で飼育したところ,体色の明化とともに鰓のNa+K+‐ATPase (NKA)活性が増加した。第二に,視床下部由来のメラニン凝集ホルモンがin vivoで(NKA)活性を高めた。そして第三に,鰓の塩類細胞においてメラニン凝集ホルモン受容体遺伝子の発現が認められた。以上の結果は,背地色がメラニン凝集ホルモンを介して鰓での浸透圧調節に関与することを示唆する。
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