研究課題/領域番号 |
22659053
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
薬理学一般
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
石川 義弘 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (40305470)
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研究期間 (年度) |
2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2010年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
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キーワード | がん / 温熱療法 / 細胞死 / 磁性体 / 分子メカニズム |
研究概要 |
横浜市立大学と(株)IHI(旧石川島播磨重工業株式会社)の基盤技術研究所との共同研究から、抗がん作用を有する有機磁性体化合物が開発された。本化合物は、有機化合物でありながら、磁性を持つ性質を有する。このために磁石によって、抗がん作用の誘導が可能である。すでに培養細胞およびマウスにおいて、磁石によるドラッグデリバリーが実証された。また磁性体の性質を利用して、交流磁場印加において発熱作用を持つことも示された。これは、抗がん作用と発熱作用の両方を有する新しい抗がん剤化合物の開発を意味する。これまでに、このような性質を併せ持つ抗がん剤は存在していない。本申請では、新規抗がん剤化合物が、どのような分子メカニズムによってがん細胞殺傷効果を示すかを検討した。薬理学的な抗がん作用は、様々な培養がん細胞を用いた実験から、既存のシスプラチンやMTXに匹敵することがわかった。さらに交流磁場印加によって強い発熱作用が証明された。化合物は細胞に取り込まれ、一般的な抗腫瘍効果を引き起こすだけでなく、細胞内における発熱作用によって、さらに強い抗腫瘍効果を示すと考えられた。具体的には、培養がん細胞を用いて、同化合物を添加することにより細胞死の誘発が起こると考えられたが、この細胞死を起すメカニズムが、既存のシスプラチンなどの抗がん剤とどのように異なるかの分子メカニズムの検討をおこなったところ、活性酸素の発生に伴う細胞死の亢進が観察された。さらにこの効果は抗酸化剤によって抑制されたことから、活性酸素の産生によるDNA障害がメカニズムとして考えられた。今後は時間依存的、および容量依存的な変化を検討することにより、詳細な細胞殺傷効果の検討が可能になっていくと考えられた。
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