研究課題
挑戦的萌芽研究
加齢に伴う筋萎縮や減弱を特徴とする病態はサルコペニア(sarcopenia)とよばれ、Ca^<2+>ハンドリング異常が原因であると想定されているものの、その発症メカニズムは不明である。本研究では、マウス老齢筋にて顕著な発現低下する遺伝子群を検索し、その中から小胞体膜タンパク質やCa^<2+>ハンドリング関連タンパク質を同定することを立案した。遂行された実験では、小胞体内腔Ca^<2+>結合タンパク質であるサルカルメニンと小胞体膜Ca^<2+>ポンプであるSERC(SR/ER Ca^<2+>-ATPase)が加齢マウス骨格筋にて発現量低下が示された。両タンパク質は心筋小胞体でも同様に発現していることが知られており、両者の発現量低下の関連が注目された。我々が以前作製したサルカルメニン欠損マウスは特に重篤な心臓機能の異常は観察されていないが、サルカルメニン欠損心筋におけるSERCAのタンパク発現量は約半減しており、加齢によりその発現量はさらに低下していた。従って、詳細なメカニズムは不明であるものの、サルカルメニンは小胞体内腔側からSERCAのタンパク安定性に寄与していることが示唆される。この遺伝子欠損マウスでの結果からは、加齢によりサルカルメニンの発現量が低下して、その二次的結果としてSERCA発現量も続落し、小胞体Ca^<2+>ハンドリングの機能低下に寄与するものと推定された。また一方では、筋小胞体タンパク質であるジャンクトフィリンとJP45に注目した加齢関連検討も企画されたが、両タンパク質のサルコペニアへの寄与は確認されなかった。
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