研究課題
挑戦的萌芽研究
はじめに:我々は遺伝性血栓症患者におけるアンチトロンビン抵抗を示す異常プロトロンビン(p.Arg596Leu)を報告した。 患者血漿由来トロンビンのアンチトロンビン抵抗性を検出するためのアンチトロンビンによるトロンビンの不活性化の動態を分析する新規の臨床検査法を考案した。材料および方法:プロトロンビンアクチベータ成分(リン脂質、塩化カルシウム、およびヘビ毒由来プロトロンビンアクチベータ)とのインキュベーション後、試料中のトロンビンをヘパリンの存在下あるいは非存在下で十分量のアンチトロンビンを用いて不活化した。続いて、HD-Phe-Pip-Arg-pNA を添加し、405nm における吸光度変化率(ΔAbs/min) ・残存トロンビン活性を測定した。結果および結論:アンチトロンビンおよびヘパリンを用いて 5 分間不活化した場合の残存トロンビン活性は、 596Leu 変異型プロトロンビン(40%) では、野生型(0.5%)よりも高かった。アンチトロンビンのみで 30 分不活化した場合の残存トロンビン活性は、596Leu 変異型プロトロンビン(99%) では、野生型(20%)よりも高かった。 本測定系は、 596Leu変異型プロトロンビンのアンチトロンビン抵抗性を検出することができた。リコンビナントプロトロンビンとプロトロンビン欠乏血漿より再構成した患者血漿モデルにおいてもアンチトロンビン抵抗性を検出できた。ワルファリン服用 596Leu 変異型プロトロンビン患者血漿を用いた場合は、 初期のトロンビン活性は低いが、健常人血漿と比較すると残存トロンビン活性率を比較することでアンチトロンビン抵抗性を検出できた。結論:アンチトロンビンを用いたトロンビンの不活性化の動態を解析することにより、血漿中のアンチトロンビン抵抗性を検出する臨床検査法を考案した。本測定系はワルファリン服用患者においても、アンチトロンビン抵抗性を検出できる。
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The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE
巻: 366巻 ページ: 2390-2396
N Engl J Med.
巻: 366 号: 25 ページ: 2390-2396
10.1056/nejmoa1201994