研究課題
挑戦的萌芽研究
Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)の治療として、ジストロフィン遺伝子のアウトオブフレーム変異をインフレームに修正するエクソンスキッピング誘導治療が最も有望な方法として大きな注目を集めている。従来、このエクソンスキッピング誘導にはアンチセンスオリゴヌクレオチドという高分子化合物が用いられていた。本研究は、低分子化合物がこのエクソンスキッピングを誘導することを分子生物学的手法を駆使して実証するものである。そのために、ミニジーンを用いたin vitroスプライシング反応系を用いて低分子化合物のエクソンスキッピング誘導能について検討した。まず、標的とするエクソン配列を組み込んだミニジーンを作製した。作製したミニジーンをHeLa細胞に導入し、スプライシング反応を起こした。このスプライシング反応系に種々の低分子化合物を加え、そのエクソンスキッピング誘導作用を解析した。その結果、1つの低分子化合物があるナンセンス変異を有するエクソン31を配列特異的にエクソンスキッピング誘導することを明らかにした。この反応は時間あるいは量依存的であった。さらに、エクソン31内ナンセンス変異をもつ患者由来培養筋細胞にこの低分子化合物を導入したところ、ジストロフィンmRNAでエクソン31のスキッピングの増幅とジストロフィンタンパクの発現増が確認された。本研究成果は、DMDの治療として低分子化合物が応用できることを示す画期的なものであった。今後、本領域の研究の発展を促す重要な成果を得た。
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