研究課題
挑戦的萌芽研究
アルコール依存症はうつ病など他の精神障害との合併も多く、わが国のメンタルヘルスの最重要課題の一つである。しかしながら、その治療は心理社会的な治療が中心で、薬物療法としては嫌酒薬や対症的な抗不安薬の使用にとどまり無効な場合があり、新しい作用機序の薬物の導入を含む新たな治療法の開発が望まれていきた。サブスタンスP(SP)は、タキキニンと総称される神経ペプチドで神経伝達物質として機能する。SPとその受容体であるNK1受容体は、情動行動、ストレス反応の制御に関連し、うつ病、不安障害などの精神疾患の病態との関連が示唆されてきた。このSP-NK1受容体系がアルコールの過剰摂取に関与する脳内のストレス系、報酬系のプロセスを調節し、アルコール依存性の有用な治療標的となる可能性が示された。NK1受容体拮抗薬はアルコール依存性に関与する飲酒渇望(alcoholcraving)プロセスに特異拮抗作用を示す可能性がある。本研究では、報酬機能におけるSP-NK1受容体系の関与を明らかにする目的で、機能的核磁気共鳴画像(fMRI)検査を用いてNK1受容体拮抗薬の報酬機能に対する効果を調べた。すなわち、健康被験者を対象に、刺激呈示によって報酬予測を誘発するための脳賦活をfMRI検査を用いて客観的に評価する方法の標準化を行った。その上で、健康被験者を対象に、NK1拮抗薬aprepitantの報酬機能への作用を調べた。その結果、健康被験者において、報酬予測に伴う脳賦活に対してaprepitantが抑制効果を持つことが明らかになった。この結果から、NK1受容体拮薬は飲酒渇望が抑制しアルコール依存症の治療薬となる可能性が示唆された。
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