研究課題/領域番号 |
22659247
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
後藤 満一 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (50162160)
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研究分担者 |
斎藤 拓朗 福島県立医科大学, 医学部, 医監兼教授 (20305361)
土屋 貴男 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (70343390)
見城 明 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (40305355)
穴澤 貴行 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (90566811)
鈴木 弘行 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (30322340)
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研究期間 (年度) |
2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2010年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | Supported Molecular Matrix Electrophoresis(SMME)法 / ムチン / polyethylene glycol / polyvinyl alcohol / O-結合型糖鎖 |
研究概要 |
上皮細胞は糖鎖を多く含むムチンを分泌する。癌細胞も同様である。これらの糖鎖は外界の刺激や、消化酵素から自己を護るために大きな役割を持つと考えられており、注目すべきは、SLea,SLeX,STn等の癌関連の抗原の半数近くは糖鎖であるが、いまだ、数多くの癌特異的な糖鎖が解析されずにいることである。高密度に糖鎖修飾を受けた高分子量タンパク質であるムチンは、様々な悪性腫瘍などの診断を可能にする早期診断マーカーとなりうる可能性をもつ。本研究は、胆道癌、膵癌など、難治性の疾患において、癌が分泌するであろう胆汁、膵液などを検体とし、新しい腫瘍マーカーを同定できるシステムを構築することを目的とした。解析は、Supported Molecular Matrix Electrophoresis (SMME)法とマススペクトロメトリーを用いて進めたが、今後の展開の鍵を握るのは、O-結合型糖鎖構造とともに、そのキャリア蛋白であるMUC1の存在を簡便に同定することであった。 今年度の成果は、この鍵となる、SMMEより分離したムチンの免疫染色法の開発に成功したことである。これまでSMME膜上の免疫染色は、界面活性剤を含むバッファーによりムチンが溶出してしまうため難しかった。適切な親水性ポリマーの過択と、混合比率の適正化をおこなうことによって免疫染色法が可能となった。即ち、polyvinyl-pyrolidone (PVP)ではなく、polyethylene glycol (PEG)とpolyvinyl alchobol (PVA)を測定物質に応じて、至適比率で使用することにより、SMME膜上のムチンの免疫染色が可能となった。アセトンと熱処理によりムチンを固定した後に検出を行った。ヒト胆汁中より分離したムチンとともに、ヒトがん細胞株より分泌されるムチンにおいても、再現性が確認された。本法によりムチンの糖鎖とコアタンパク質の両者について、簡便・迅速な解析が可能となり、新しい腫瘍マーカー検索の方法が確立されといえる。今後、種々の臨床検体を用いた解析が期待される。
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