研究課題
挑戦的萌芽研究
骨細胞はその突起および骨細管を介して、骨中にネットワークを形成している。これまで、骨細胞は骨形成を促進あるいは抑制、骨吸収を抑制すると報告されてきた。しかし、これは骨細胞死によって起こる骨変化から推測されてきたものであり、ネクローシスによる微小環境下の炎症反応を考慮しなければならない。また、その解剖学的特徴から、骨細胞はメカニカルストレスのセンサー・トランスデューサーとして働くと考えられている。意外にも、BCL2を骨芽細胞に特異的に発現させたトランスジェニックマウスでは、トランスジーンの発現が低下した骨細胞でアポトーシスが起こり、4ヶ月齢になると75%の骨細胞は死滅し、骨細胞ネットワークは破綻していた。アポトーシスは骨細胞突起が減少するために起こると考えられた。マイクロアレイにて、野生型マウスで非荷重により誘導され、BCL2トランスジェニックマウスでは誘導されない遺伝子を探索した。その結果、解糖系の酵素Pdk4(pyruvate dehydrogenase kinase 4)を同定した。Pdk4ノックアウトマウスを作製したが、生理的条件下では表現型を認めなかった。しかし、このマウスでは、非荷重時の骨量減少が認められず、野生型マウスで見られる骨芽細胞での非荷重時のRanklの発現誘導も認められなかった。M-CSF, RANKL存在下で, Pdk4 KOマウスの骨髄由来単核球/マクロファージ系細胞(BMMs)の破骨細胞分化は抑制されていた。Pdk4 KOマウスの骨芽細胞と野生型マウスのBMMsとの共培養でも,破骨細胞分化が阻害された。逆にPdk4発現ベクターの導入は破骨細胞分化を促進させた。また、Pdk4ノックアウトマウスの骨芽細胞では、Ranklのプロモーター活性が低下しており、Pdk4発現ベクターの導入はそれを亢進させた。したがって、Pdk4は、破骨細胞形成を促すことによって、非荷重時の骨量低下に重要な役割を果たすことが明らかとなった。
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Development, growth and differentiation
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