研究概要 |
本年度はシェーグレン症候群の診断法の確立に向けて新規バイオマーカーの探索を進めた。シェーグレン症候群のモデルの一つとして知られるCCR7ノックアウトマウスを用いて、制御性T細胞における機能異常に焦点を当てた解析により、制御性T細胞のCCR7が診断のバイオマーカーに成りうるのか否かについて検討した。CCR7ノックアウトマウスの唾液腺や涙腺局所では制御性T細胞の割合は減少しており、正常唾液腺にパトロールしているCCR7陽性制御性T細胞が存在していることが判明し、そのシグナル伝達機構にS1P/S1P1の下流でc-Jun/AP-1を介した分子群及びFoxp3分子が相互作用していることが明らかとなった(投稿中)。一方、カテプシンと自己免疫疾患との関連性を明らかにするために、自己免疫性糖尿病(I型糖尿病)の疾患モデルであるNODマウスを用い、カテプシンLが末梢CD8陽性T細胞の細胞障害活性に関連していることを明らかにした上で、カテプシンL阻害剤やカテプシンLのsiRNAを応用することにより、自己免疫性糖尿病の治療的戦略を確立した(PLoS One 5:e12894, 2010)。加えて、インビボでのsiRNAを効率よく導入するために、アテロコラーゲンあるいは合成コラーゲンの応用に関する研究にも参画した(Dev Growth Differ 52:339, 2010, 53:48, 2011)。RbAp48のsiRNAによるアテロコラーゲンを応用したシェーグレン症候群疾患モデルへの点眼治療法に関しても、予備的検討では点眼により有効な治療効果が確認された。カテプシンLに関しても末梢T細胞における自己免疫疾患の診断におけるバイオマーカーの一つになることが示された。
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