研究概要 |
口腔角化上皮幹細胞は組織の恒常性維持、創傷治癒、再生などで重要な役割を果たす。その一方、この細胞を分離・分析するのは難しく研究は進んでいない。本研究の目的は、先ず、磁石付抗体を用い口腔角化上皮幹細胞を分離分析することにある。口腔角化上皮細胞は、ヒトの角化口腔粘膜から採取しCD71とα6ss4integrinをマーカーに上記の磁石を用い分離した。CD44H,Nestin,Nanog,Oct3/4,CD117の異なる幹細胞マーカーが、免疫染色にて確認された。α6ss4posCD71neg分画の口腔粘膜形成能も検討した。その結果、3種類の分画:α6ss4posCD71neg,α6ss4posCD71pos,α6ss4negが得られた。α6ss4posCD71neg幹細胞分画はOct3/4,CD44H,cytokeratin19に陽性でNanog,Nestin,CD117には陰性であった。α6ss4posCD71pos分画、α6ss4neg分画は全ての幹細胞マーカーに陰性であった。α6ss4posCD71neg分画は人工歯肉上皮の再生が可能で、層状に上皮が形成された。cytokeratin19とinvolucrinの発現状況はヒト歯肉上皮のそれと一致した。さらに、この磁石システムは口腔角化上皮幹細胞研究には重要なツールと考えられた。
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