本研究期間中に、自死で配偶者を亡くした人2名、子どもを亡くした人1名、親を亡くした人1名、計4名の研究協力が得られ、全員から夢の中での自死者との再会場面を描画することができた。研究協力者の報告をみると自死者との言語的な対話は成立しているとは言いがたく、自死者になぜと問うても、明確にその理由が述べられることはなかった。しかし遺族は、夢の中での自死者のようすから言葉を超えたメッセージをくみとったり、求めても得られないという限界を察したりしていた。そして、その中で印象的な場面を描画することができ、自死者からの肯定的な反応を想像できた例が多かった。これらから、大切な家族を自死で亡くし否定的な諸感情に苦悩する遺族の癒しにつながる体験が、夢を死者と再会可能な空間として遺族とともに描画し語りなおすことによって得られる可能性が示された。
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