研究課題
若手研究(A)
本研究では、超伝導薄膜で吸収したテラヘルツ波を超伝導トンネル接合素子(STJ)で検出するという「薄膜マッチング型STJ検出器」の研究開発を推進した。またその発展形として、伝送線路に見倣した長方形形状のSTJ素子でテラヘルツ波を検出するという「伝送線路型STJ検出器」の研究開発も推進した。例えば、後者の検出器はニオブ超伝導体の平面アンテナと2個の長方形STJ素子を1/4波長インピーダンス変換線路で接続した膜構造をとる。テラヘルツ波はSTJ素子の長軸方向に伝搬しながら吸収され、最終的に準粒子トンネル電流として読み出す。作製にはニオブ系5層膜【Nb/Al/AlOx/Al/Nb】を採用し、フーリエ変換分光器を用いて光学特性を評価した結果、Nb/Al系STJ素子のギャップ周波数(0.35THz)を境にして不連続な検出感度上昇を確認し、超伝導体の近接効果を考慮したクーパー対解離(CPB)に起因する直接検出を実証した。また、ギャップ周波数以下(0.25THz)に急峻な共振ピークを同時検出し、これが光子誘起トンネル現象(PAT)に基づくSTJ素子長軸方向での3/4波長共振であることを明らかにした。本研究で推進したSTJ検出器はCPBとPAT両方の検出プロセスが利用可能であり、この高い周波数選択性は将来のテラヘルツイメージング応用における多様性に繋がると期待される。
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Superconductor Science and Technology
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