研究課題
若手研究(A)
申請者はこれまで外的刺激に対する皮膚免疫応答の多様性について、主に皮膚樹状細胞の成熟・遊走・ホメオスタシス維持機構、T細胞活性化と局在化の制御機構などの研究に従事してきた。また、二光子励起顕微鏡を用いたライブイメージングにより、皮膚免疫細胞の時空間的動態の把握に成功した(未発表結果)。申請者は、カエデマウスにおいてハプテン誘発接触過敏反応を惹起後、皮膚を435nmの波長(紫外線波長より長いため免疫学的影響がないことを確認済み)で光転換して赤色に標識する(図2)。その後、所属リンパ節内の赤色蛍光を有する細胞を経時的に測定し、皮膚から遊走したT細胞サブセットを同定する。また、光転換時の皮膚におけるリンパ球サブセットも評価し、皮膚に浸潤したリンパ球のうち、リンパ節指向性のあるサブセットを同定した(J Clin Invest 2010)。本結果は皮膚からリンパ節へリンパ球が遊走していることを強く支持するものである。さらに、上記実験後に、カエデマウスに惹起と異なる部位にハプテンを再度塗布し、皮膚由来のリンパ球が再度皮膚にホーミングし、循環するかを検証し、再循環するT細胞の存在を同定した。以上より、申請者は、「皮膚へ浸潤したリンパ球が再度リンパ節へ回帰して、全身免疫を制御する」という独自の仮説に基づき、皮膚免疫応答の多様性や可塑性の獲得メカニズム、皮膚免疫と全身免疫とのクロストークに迫るものである。
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