研究課題
若手研究(B)
リスザル(Saimiri sciureus)はマラリアワクチンの開発にとって最も価値のある実験動物にもかかわらず、そのIgGについては解析が行われていない。抗体を介した免疫応答に抗体依存的細胞障害(ADCC)と呼ばれるメカニズムが知られており、感染マラリア原虫の排除にとって重要である。このメカニズムにおいて、ヒトでは抗原を認識したIgG1あるいはIgG3がFcレセプターの一つあるFcγRIIIaと結合することが知られている。そこで我々はリスザルのFcγRIIIaに興味を持ち、この遺伝子を同定した。これまでに、ヒトのFcγRIIIaの 176 番目のフェニルアラニンがバリンに置換した変異ではIgG1、IgG3のみならず、IgG4にも結合することが報告されている。我々はリスザルのFcγRIIIaにおいて、相当する残基がバリンであることを見出した。このことはIgGとFcレセプターとの関係、ADCCのメカニズムの進化を知る上で非常に興味深い。最後に我々は高感度で特異性の高い抗リスザルIgGモノクローナル抗体を開発し、このモノクローナル抗体がウェスタンブロッティングおよびELISAで有用であることを示した。
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