研究概要 |
小胞体ストレス蛋白質のひとつにカルレティキュリン(Crt)がある. Crtは分子量約55 kDaのタンパク質であり,細胞内小器官である小胞体に常駐する分子シャペロンの一種である.その細胞外での機能はまだ完全には明らかにされていないが,様々な疾患で血中濃度の変動が報告されているため,細胞外での機能解明は重要であると考えられる. カニクイザル血漿中におけるCrt自己抗体の加齢に伴う変化を調査したところ, Crt自己抗体は加齢に伴う増加を示したが, Crtの増減は加齢との相関は見られなかった.次にカニクイザルリンパ球中における制御性T細胞の関与する免疫寛容系の加齢による変化を解析したところ,細胞抗原マーカーであるFOXP3, FOXP3/CD25, CD25/CD4の発現が若齢サル血球に比べて老齢ザル血球で減少していることが明らかになった.またカニクイザル白血球細胞においてCrtによって発現量が増加した遺伝子群は細胞骨格再構築,免疫および細胞接着に関与する遺伝子群であった.
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