研究概要 |
本研究の目的は,スポーツ場面における「あがり」の発現機序を運動スキルの閉鎖‐開放次元に着目して解明し,種目特性に応じた対処法を検討することであった。研究の結果,プレッシャー下では閉鎖スキルと開放スキルの両方において意識的処理,注意散漫という注意の変化が示された。したがって,種目特性に関わらず,注意の対象を適切にコントロールする必要がある。また,両スキルにおいて運動の空間的大きさが減少することが示された。そして,開放スキルにおいては運動の正確性や効率性が低下することが示された。これらのことから,変化する環境への予測や対応を要するスキルの場合,環境情報の正確な知覚とそれに基づく適切な運動実行が求められるため,知覚・認知の混乱や身体の情動反応への対処が重要であると推察された。
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