研究概要 |
本研究の目的は,日本人の賃金労働,家事労働,地域・市民活動,その他の活動とのバランスの実態を検討し,多様なリスクやライフコースに対応したワーク・ライフ・バランス(以下, WLBという)論のフレームワークを構築していくことにあった。研究枠組みは,(1) WLBに関する政策の整理,(2) WLBに関する先行研究の分析,(3)公共性概念をふまえたWLB論が求められる社会的背景の分析,(4)公共性概念をふまえたWLB論を構成する下位概念の分析,(5)時間配分にみる地域・市民活動者のWLBの分析によって構成されている。結果,今後のWLB論では,公共性概念を明確にするため,ディセント・ワーク,エンパワーメント,共助といった概念を含んだ理論を構築していく必要があると共に,さらなる実証分析が不可欠であることが示唆された。
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