食中毒菌が産生する固有の不快臭を用い、簡易・迅速に食中毒菌の有無を判定できる微生物検査法の確立を目的として、黄色ブドウ球菌が産生する不快臭の前駆体の探索及び本菌がその不快臭の前駆体を代謝することによって生じる臭気物質の同定・定量を行った。黄色ブドウ球菌が産生する不快臭の前駆体は、L-leucine(Leu)、L-tyrosine(Tyr)、及びL-methionine(Met)であった。前駆体により生じる臭気物質としてLeu由来のisovaleric acid、2-hydroxy-4-methypentanoic acid及びTyr由来の2-phenypropanoic acidを同定した。不快臭の前駆体は、本菌の増殖と毒素の産生には影響を及ぼさなかった。
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