研究課題
若手研究(B)
ストレス誘導性ガスシグナルである一酸化炭素(CO)は活性酸素種に対して抗アポトーシス効果を持つことが知られていたが、機序は長らく不明であった。本研究では安定同位体標識グルコースを用いたメタボローム解析によって、CO処理細胞では解糖系へのfluxが抑制され、ペントースリン酸回路へのfluxの増加が認められた。さらにCOの標的作用分子を精査したところ、PFKのアロステリック活性化因子であるF-2, 6-BP(Fructose-2, 6-bisphosphate)の合成酵素PFKFB3のメチル化修飾がCOによって変化することで活性が阻害されることが示され、ペントースリン酸回路の活性化によって産生されたNADPHは還元型グルタチオン量の維持に働き、抗ストレス作用として機能することが明らかになった。このようにCOはPFKFB3のメチル化を介して解糖系からペントースリン酸回路への糖代謝のリモデリングに作用し、還元力を維持されることで酸化ストレスに耐性をもつようにエネルギー代謝を制御する、新しい糖代謝制御系の存在を明らかにした。
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